東京の不動産会社に新卒入社しました。その後、石川県の自衛隊で新人研修があり、その時に出会ったのが後に旦那となる陽さんです。自衛隊の教官役でした。
結婚をしてしばらくは石川県に住み、私は転職して特別支援学校の教師となりました。結婚後の初めての熊本帰省で、陽さんのおじいちゃんが牧場をしていたところに立ち寄ったのですが、継ぐ人もいなかったのでそこが荒れ果てていたんです。昔は競走馬がたくさん走り賑やかで明るいイメージの場所だったらしく、昔のように賑わう場所に出来たらいいねと夫婦で話していました。いずれ熊本には帰るのだし、ここで何かできたらいいなぁと考え始めました。そこで、農業を始めようと夫婦で決意したんです。

26歳くらいで若かったと言うのもありますが、農業はしたことないけれど楽しそうだなぁと前向きな気持ちしかありませんでした。けれど、畜産業であった陽さんの身内が大反対。私たち夫婦が公務員の仕事をしていたので、そんな安定した職を変える必要はないんじゃないかと。でもやる気は止まらず、資金を貯めたり色々な農家さんのところへ見学に行かせてもらいながら準備を始め、熊本に通って説得を続けました。陽さんは農業大学に通い、私は野菜ソムリエの資格をとり、きちんと準備を重ね2年後の28歳に熊本に住むことに。

農薬を使わないオーガニック野菜を作るという気持ちはスタートから変わりません。絶対に安全なものを作ってお客様に直接届けるという方法でやっていくということを決意していました。逆に農業に対する知識が深くないゆえに、決意できたのかもしれないです。使わせてもらえる土地があり、そこでは何をしてもいい。それを彼と二人三脚で決め、準備し、動いていく。本当に楽しかったです。

農業ってスローライフなイメージを持たれるのですが、本当に寝る時間がなかったです。知識が深くないので色々なことを手探りで調べながら取り組んでいたので、進むのも遅いし、もちろん天候に左右されますし。
日中は畑に出て、夜に加工品作り。週末に移動販売をしていたので、そのための仕込みもしないといけないですし。
野菜の販売力が強くなかったので、野菜を無駄にしないよう加工して長持ちできるものを作っていたんです。ジャムやドレッシングなど。その頃を思い出すと、眠たい！の一言。とにかくずっと眠かったです。眠たくて眠たくて。でも本当に楽しくて。時間が足りないだけで、やめたいとは全く思わなかったんです。